ニックス対スパーズ(Knicks vs Spurs)のFinals Game 4が、現地6月10日(日本時間6月11日朝)にマディソン・スクエア・ガーデン(MSG)で行われる。シリーズはG3終了時点でニックスが2勝1敗。数字の上では、ニックスがかなり有利な位置にいます。
その根拠が、今日のheroNum。ファイナルで2-1とリードしたチームの優勝率は、約8割[1]です。先にリードを握った側が、そのまま押し切るケースが圧倒的に多い。
ただ、私はこの「8割」を数字どおりには受け取っていません。G3でニックスが落とした原因が、はっきり数字に出ているから。エースのBrunsonは毎試合20点を超えて機能しているのに、それでも負けた。崩れたのは、別のところだった。
カギは、援護のシューター陣の3P。分かりやすい象徴がLandry Shametだけど、OG AnunobyやMiles McBrideら外の選手が決められるかどうかも同じくらい大きい。今日はそこを軸に、G4の勝負所を読み解いていきます。
このシリーズ、前回のG3プレビューで私は「2-0先行の王道」を軸に書いた。ところがG3はスパーズが115-111で取り、シリーズは2-1。ニックスの王手は、いったんお預けになった。
ここで誤解しないでほしいのが、ニックスはまだリードしているということ。2-1で先行するチームの優勝率が約8割[1]という事実は、G3の1敗では覆っていません。スパーズは最悪のシナリオ(0-3)を消しただけで、確率の主導権はなおニックスにある。
もう一つ、G3で途切れたものがある。ニックスのプレーオフ13連勝。これは「1度のプレーオフでの連勝」としては史上2位の長さ[2]でした(1位は2017年のウォリアーズ15連勝)。その勢いがホームで止まった、というのがG4に持ち越された宿題になる。
では、勢いはなぜ止まったのか。エースが沈んだわけではない。むしろ逆だった。
並べると一目瞭然。Brunsonは3試合とも20点超で、エースとしての仕事はずっとできている。問題はエースじゃない。
注目してほしいのはShametの行。ニックスが勝った2試合は3本ずつ決めて13点。負けたG3だけ、7本打って1本(3点)、そしてプラスマイナスは−20でチーム最悪[3]でした。援護の1枚が沈むと、勝敗まで一緒に動いている。
ただし、これは「3Pの確率さえ高ければ勝てる」という単純な話ではありません。チーム全体の3P%を見ると、G1は30.6%と低くても勝っている。確率そのものより、勝負所で援護の外角が止まるかどうかが効いてくる、というのが正しい読み方です。あくまで3Pは勝敗を分ける要素の一つ。それでも、無視できない大きな一つではあります。
ニックスは、特定の1人で殴り勝つチームではない。Brunsonという軸はいるけれど、勝ち方の本質は外から多彩なシューターで崩す「総合力」にある。だからこそ、援護の歯車が1つ狂うと全体が止まりやすい。
ミニバスの練習でよく起きる場面がある。エース格の子が点を取っても、周りのシューターが「自分は今日入らない」と思い込んだ瞬間、チームの得点がぱたっと止まる。逆に1本入ると、チーム全体がリズムを掴んで波に乗っていく。外角は技術であると同時に、スイッチが入るかどうかの心理戦でもある。
G3のニックスは、まさにそのスイッチが切れた試合だった。それがいちばん分かるのが、前半と後半で分けたスコア。前半は3Pを17本中8本(47.1%)決めて64点と爆発したのに、後半は25%に冷えて47点[3]。同じチームとは思えないほど、別物になっていた。
なかでも勝負どころの第4Qは、3Pが14本中わずか2本。決めたのはBrunsonとAnunobyの2人だけで、Shamet・Towns・Bridgesといった外の援護はそろって0本でした。Brunsonが第4Qも12点取っているのに、チーム全体ではたった20点で頭打ち。エース1枚は最後まで戦えても、外の援護が消えた穴までは埋められない──それがはっきり数字に出た時間帯です。
逆に言えば、G4の見どころはシンプル。ShametやAnunoby、McBrideといった援護のシューターが、早い時間から3Pを決められるか。外の1本が早めに入れば、シューター陣がリズムを掴んで総合力が戻る。もちろん3Pは勝敗を分ける要素の一つに過ぎず、守備やリバウンドも絡む。それでも、エースの数字より援護の外角に目を向けると、試合の流れがぐっと読みやすくなる。
こうして勝敗で割って並べると、構造が見える。Brunsonの数字は勝っても負けてもほぼ一定で、勝敗の説明にならない。一方でShametは、勝ち試合と負け試合できれいに差が出ている。
つまり「ニックスが勝つ条件」は、エースの爆発ではなく、援護の外角が戻ること。データの読み方としては、Brunsonの得点欄より、ShametやAnunoby、McBrideといった援護シューターの3P欄を先に見るのが正解、というわけです。
視点を相手側に移すと、スパーズにも大きな数字がある。仮にスパーズがこの2-1劣勢から逆転優勝すれば、0-2の窮地から這い上がった史上6チーム目になる[4](過去は1969セルティックス・1977ブレイザーズ・2006ヒート・2016キャバリアーズ・2021バックスの5例のみ)。あくまで「逆転できれば」の話で、まだ何も達成されてはいません。
その足がかりになったG3は、Wembanyamaの32点8リバウンド6アシスト3ブロック(FG11-18)が中心。先発のCastleも23点で、終盤の決定的な3Pとフリースローを沈めた。スパーズは託せる軸がはっきりしている分、接戦の終盤に強い。
ニックスの「総合力」とスパーズの「託せる軸」。同じ接戦でも、火を最後まで持っていられるのはどちらか──そこがG4でもう一度問われる。
シリーズはニックス2-1リード、確率の王道(約8割)も生きたまま。スパーズは2-2のタイに戻して流れを完全に引き寄せたいし、ニックスはホームで王手をかけ直したい。立場は対照的だ。
私の見立てはずっと変わりません。G4の鍵はBrunsonではなく、Shametをはじめとする援護の3P。あの外角が戻れば、約8割という確率はニックスの味方をしてくれるだろう。逆に止まったままなら、スパーズが2連取してシリーズの景色が変わる。
難しい数字はいりません。外のシューターたちの3Pが早く決まるか。たった数本だけど、そこにG4の流れを読むヒントが詰まっている。朝の通勤前にこの視点だけ持っておくと、試合の見え方がきっと変わるはずです。
NBA 視聴
NBA on PrimeをAmazonで観る
プレーオフ含む主要試合を日本語実況で配信中
※ 本リンクはアフィリエイト広告を含みます
この記事、どうでしたか?