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戦術分析

29点差はファイナル史上最大──ニックス対スパーズG4107-106大逆転で王手

公開日2026.06.11編集部 · 4 min
G4
戦術分析RECAPNO. 01
29
BIGGEST FINALS COMEBACK
NYK
vs
SAS

29点差。ファイナル史上最大の逆転がMSGで生まれた

ニックス対スパーズ(Knicks vs Spurs)のファイナルGame 4は、数字だけで歴史に残る一戦になった。3Qに29点差[1]──そこからニックスがひっくり返し、107-106[3]。1試合内の逆転としてはNBAファイナル史上最大です。決めたのは残り1.2秒、OG Anunobyのティップイン。前日のプレビューで立てた「援護シューターの3Pは戻るか」という問いに、MSGで答えが出た夜でした。

この記事のポイント
  • ファイナル史上最大の29点差逆転 ── 従来記録の24点差(2008年セルティックス)を5点更新。107-106で勝ち、シリーズ3勝1敗に
  • 答えはAnunoby、ただ1人 ── プレビューの問い「援護の3P」に戻ってきたのは1人だけ。だが3P 7-9の33点+決勝ティップインで歴史を完成させた
  • Shamet・McBrideは計0点 ── 援護の改善はまだ道半ば。優勝まであと1勝でも、宿題はGame 5(日本時間6/14朝)へ持ち越し

背景と文脈:76-49のハーフタイムから、すべてが反転した

前半のスパーズは完璧に近かった。1Qだけで41点を奪い、ハーフタイムは76-49の27点リード。3Qの入りには81-52と、差は最大の29点まで広がった。MSGの空気は、誰が見ても終戦ムードだったはず。

前日のプレビューで私は「G4の鍵はShamet・Anunoby・McBrideら援護シューターの3P」と書いた。ところが前半は、援護どころかチーム全体が49点と沈黙寸前。問いの答え以前に、試合そのものが壊れかけていました。

そこからのクォーター推移が、この試合のすべてを物語る。

スパーズ vs ニックス チーム別クォーター得点
TEAM1Q2Q3Q4Q合計
SAスパーズ41351416106
NYニックス22272632107

1Qに41点取ったチームが、3Qは14点。同じ試合とは思えない反転が、後半の24分間で起きた。

データブロック①:スパーズの得点が前半76→後半30に半減以下

■ 前後半の反転(NYK 107-106 SAS)
スパーズ …… 前半 76点 → 後半 30点(3Q 14+4Q 16)
ニックス …… 前半 49点 → 後半 58点(3Q 26+4Q 32)
─────────────────────
ハーフタイム …… 76-49(27点差)
最大ビハインド … 29点(3Qの81-52)
3Qの攻防 ……… NYK 26 - 14 SAS
4Qの攻防 ……… NYK 32 - 16 SAS
─────────────────────
※ 後半だけ見ればニックスの58-30。29点差は
  3Pの爆発ではなく「守備の窒息」から返した

注目してほしいのは、ニックスの後半58点が特別多いわけではないこと。反転の主役は守備でした。前半に76点を許した相手を、後半は30点に封じる。1クォーターあたり15点ペースまで絞り上げて、初めて29点という山が動いた。

詳細分析:守備で土台を作り、Anunobyが決めきった

ミニバスの試合で大差を追う子どもたちに、私がいつも掛ける声があります。「点差は見るな。守って、走って、次の1本」。29点を一気に返す魔法のプレーは存在しなくて、できるのは目の前のストップと1本の積み重ねだけ。この夜のニックスがやったのは、まさにその教科書どおりの作業を後半24分間やり切ることだった。

3Qを26-14、4Qを32-16。土台を積み上げたニックスは、4Qに入ってついにリードを奪う。それでも土壇場でスパーズが106-105と再逆転し、勝負は最後のひと押しまでもつれた。残り1.2秒、Brunsonのシュートミスに飛び込んだAnunobyがティップインで押し込んで107-106[3]。これが決勝点になった。

では、プレビューの答え合わせをしましょう。「援護シューターの3Pは戻るか」──戻ったのはAnunoby、ただ1人。3Pは9本中7本、FG10-15で33点。波に乗った選手が、最後はティップインで逆転を締めくくった。エースのBrunsonも36点(FT9-11)でG1から4戦連続の20点超と、軸は揺るがないまま。

一方で、プレビューで名指しした残りの2人は沈黙が続いた。Shametは21分で0点(3P 0-2)、McBrideは7分で0点(3P 0-4)。Bridgesも7点(3P 1-3)止まり。その中で、ベンチから出たJose Alvaradoが16分で8点(3P 2-3)といい仕事を見せた。つまり「援護陣が戻った」のではなく、「Anunobyが援護のノルマをほぼ1人で背負った」が正確な表現になる。援護の改善という宿題は、まだ残っています。

選手スタッツ(box score):二桁得点はNYK3人・SAS5人

スパーズ vs ニックス 選手スタッツ(二桁得点者)
選手PTSREBAST3PFGMIN
サンアントニオ・スパーズ
#1Victor Wembanyama241312-89-2544
#2Dylan Harper21433-68-1232
#4De'Aaron Fox18574-96-1637
#24Devin Vassell18545-86-940
#5Stephon Castle13551-32-726
ニューヨーク・ニックス
#11Jalen Brunson36573-712-2544
#8OG Anunoby33417-910-1541
#32Karl-Anthony Towns131021-14-526

※ 数字は PTS/REB/AST、3P・FGは(成功/試投)。出典:ESPN box score(gameId 401859966)

スパーズは二桁得点5人とバランスは悪くない。Harperは効率よく21点(FG8-12)、Vassellは3P 5-8、CastleはFT8-8。それでも大黒柱のWembanyamaが24点13リバウンドながらFG9-25と効率を落とし、後半の失速を最後まで立て直せなかった。ニックスではTownsが13点10リバウンド(FG4-5)と、少ない手数で逆転の土台を支えている。

データブロック②:ファイナル史上の大逆転、歴代と並べる

■ NBAファイナル・1試合内の逆転勝ち(最大ビハインドを覆した勝利)
1位 … 29点 ── 2026 ニックス(G4・107-106)
2位 … 24点 ── 2008 セルティックス(G4・97-91)
3位 … 20点 ── 1995 ロケッツ
4位 … 15点 ── 2011 マーベリックス
─────────────────────
※ 従来記録(2008年・対レイカーズ)を一気に5点更新
※ 「ファイナル史上」最大。プレーオフ全体の記録とは別

従来の記録は、2008年G4でセルティックスがレイカーズを97-91で下した24点差[2]。18年残った記録を、5点も更新した計算になる。3位の20点、4位の15点と並べると、29という数字がどれだけ突き抜けているかが分かるはず。

今後の展望:王手のニックス、背水のスパーズ。鍵は変わらない

シリーズはニックスの3勝1敗。1973年以来の優勝まで、あと1勝です。プレビューで触れた「2-1リードの優勝率約8割」はさらに有利な3-1へと進み、確率の景色は一段とニックス側に傾いた。一方のスパーズは、ここから3連勝しか道がない正真正銘の背水だ。

それでも、私の見る場所は変わりません。Game 5の鍵も援護シューターの3P。今回はAnunobyの歴史的な1人舞台で勝てたけれど、彼が平均的な夜に戻ったとき、Shamet・McBride計0点のままでは同じ綱渡りが待っている。逆にスパーズは、前半のような76点の攻撃を「48分続ける」ことが最後の生命線になるだろう。

29点差の夜を見届けた朝なら、この数字だけで今日の話題は足りるはず。次はGame 5、現地6/13(日本時間6/14朝)。王手をかけたニックスが1973年以来の戴冠に届くのか、最後まで見届けます。

出典

[1] 29点差からの逆転はNBAファイナル史上最大(1試合内の逆転)・歴代記録(2位24点=2008年、3位20点=1995年、4位15点=2011年):ESPN「What are the biggest comebacks in NBA Finals history?」 https://www.espn.com/nba/story/_/id/40337606/what-biggest-comebacks-nba-finals-history /CBS Sportsでクロスチェック
[2] 従来記録=2008年G4でセルティックスが24点差を逆転しレイカーズに97-91で勝利:NBA.com history 「Finals moments: Celtics rally in Game 4 of 2008 Finals」 https://www.nba.com/news/history-finals-moments-celtics-rally-game-4-2008
[3] 最終スコア107-106・ラインスコア・全選手スタッツ(Anunoby 3P 7-9 33点、Brunson 36点ほか)・残り1.2秒の決勝ティップイン:ESPN box score / recap(gameId 401859966) https://www.espn.com/nba/boxscore/_/gameId/401859966
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