ニックス対スパーズ(Knicks vs Spurs)のファイナルGame 4は、数字だけで歴史に残る一戦になった。3Qに29点差[1]──そこからニックスがひっくり返し、107-106[3]。1試合内の逆転としてはNBAファイナル史上最大です。決めたのは残り1.2秒、OG Anunobyのティップイン。前日のプレビューで立てた「援護シューターの3Pは戻るか」という問いに、MSGで答えが出た夜でした。
前半のスパーズは完璧に近かった。1Qだけで41点を奪い、ハーフタイムは76-49の27点リード。3Qの入りには81-52と、差は最大の29点まで広がった。MSGの空気は、誰が見ても終戦ムードだったはず。
前日のプレビューで私は「G4の鍵はShamet・Anunoby・McBrideら援護シューターの3P」と書いた。ところが前半は、援護どころかチーム全体が49点と沈黙寸前。問いの答え以前に、試合そのものが壊れかけていました。
そこからのクォーター推移が、この試合のすべてを物語る。
| TEAM | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| SAスパーズ | 41 | 35 | 14 | 16 | 106 |
| NYニックス | 22 | 27 | 26 | 32 | 107 |
1Qに41点取ったチームが、3Qは14点。同じ試合とは思えない反転が、後半の24分間で起きた。
注目してほしいのは、ニックスの後半58点が特別多いわけではないこと。反転の主役は守備でした。前半に76点を許した相手を、後半は30点に封じる。1クォーターあたり15点ペースまで絞り上げて、初めて29点という山が動いた。
ミニバスの試合で大差を追う子どもたちに、私がいつも掛ける声があります。「点差は見るな。守って、走って、次の1本」。29点を一気に返す魔法のプレーは存在しなくて、できるのは目の前のストップと1本の積み重ねだけ。この夜のニックスがやったのは、まさにその教科書どおりの作業を後半24分間やり切ることだった。
3Qを26-14、4Qを32-16。土台を積み上げたニックスは、4Qに入ってついにリードを奪う。それでも土壇場でスパーズが106-105と再逆転し、勝負は最後のひと押しまでもつれた。残り1.2秒、Brunsonのシュートミスに飛び込んだAnunobyがティップインで押し込んで107-106[3]。これが決勝点になった。
では、プレビューの答え合わせをしましょう。「援護シューターの3Pは戻るか」──戻ったのはAnunoby、ただ1人。3Pは9本中7本、FG10-15で33点。波に乗った選手が、最後はティップインで逆転を締めくくった。エースのBrunsonも36点(FT9-11)でG1から4戦連続の20点超と、軸は揺るがないまま。
一方で、プレビューで名指しした残りの2人は沈黙が続いた。Shametは21分で0点(3P 0-2)、McBrideは7分で0点(3P 0-4)。Bridgesも7点(3P 1-3)止まり。その中で、ベンチから出たJose Alvaradoが16分で8点(3P 2-3)といい仕事を見せた。つまり「援護陣が戻った」のではなく、「Anunobyが援護のノルマをほぼ1人で背負った」が正確な表現になる。援護の改善という宿題は、まだ残っています。
| 選手 | PTS | REB | AST | 3P | FG | MIN |
|---|---|---|---|---|---|---|
| サンアントニオ・スパーズ | ||||||
| #1Victor Wembanyama | 24 | 13 | 1 | 2-8 | 9-25 | 44 |
| #2Dylan Harper | 21 | 4 | 3 | 3-6 | 8-12 | 32 |
| #4De'Aaron Fox | 18 | 5 | 7 | 4-9 | 6-16 | 37 |
| #24Devin Vassell | 18 | 5 | 4 | 5-8 | 6-9 | 40 |
| #5Stephon Castle | 13 | 5 | 5 | 1-3 | 2-7 | 26 |
| ニューヨーク・ニックス | ||||||
| #11Jalen Brunson | 36 | 5 | 7 | 3-7 | 12-25 | 44 |
| #8OG Anunoby | 33 | 4 | 1 | 7-9 | 10-15 | 41 |
| #32Karl-Anthony Towns | 13 | 10 | 2 | 1-1 | 4-5 | 26 |
※ 数字は PTS/REB/AST、3P・FGは(成功/試投)。出典:ESPN box score(gameId 401859966)
スパーズは二桁得点5人とバランスは悪くない。Harperは効率よく21点(FG8-12)、Vassellは3P 5-8、CastleはFT8-8。それでも大黒柱のWembanyamaが24点13リバウンドながらFG9-25と効率を落とし、後半の失速を最後まで立て直せなかった。ニックスではTownsが13点10リバウンド(FG4-5)と、少ない手数で逆転の土台を支えている。
従来の記録は、2008年G4でセルティックスがレイカーズを97-91で下した24点差[2]。18年残った記録を、5点も更新した計算になる。3位の20点、4位の15点と並べると、29という数字がどれだけ突き抜けているかが分かるはず。
シリーズはニックスの3勝1敗。1973年以来の優勝まで、あと1勝です。プレビューで触れた「2-1リードの優勝率約8割」はさらに有利な3-1へと進み、確率の景色は一段とニックス側に傾いた。一方のスパーズは、ここから3連勝しか道がない正真正銘の背水だ。
それでも、私の見る場所は変わりません。Game 5の鍵も援護シューターの3P。今回はAnunobyの歴史的な1人舞台で勝てたけれど、彼が平均的な夜に戻ったとき、Shamet・McBride計0点のままでは同じ綱渡りが待っている。逆にスパーズは、前半のような76点の攻撃を「48分続ける」ことが最後の生命線になるだろう。
29点差の夜を見届けた朝なら、この数字だけで今日の話題は足りるはず。次はGame 5、現地6/13(日本時間6/14朝)。王手をかけたニックスが1973年以来の戴冠に届くのか、最後まで見届けます。
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