← 一覧に戻る
戦術分析

13 ── ニックス対スパーズ Finals Game 2105-104で連勝はプレーオフ史上2番目に

公開日2026.06.06編集部 · 7 min
戦術分析NO. 01
13
2ND LONGEST PO STREAK

ニックスがアウェイで連勝、シリーズは2勝0敗。しかも105-104の1点差。薄氷の上を渡り切った勝利、と言っていい試合でした。

ニックス対スパーズ(Knicks vs Spurs)のファイナル第2戦は、現地6/5にサンアントニオで行われ、ニックスが薄氷の1勝をもぎ取って2-0としました。

看板にしたい数字は、13です。プレーオフ連勝13。実はこれ、単一プレーオフでは史上2番目の長さなんです[1]。1位は、誰だと思いますか?

2017年のウォリアーズ、優勝した年の15連勝。あの「歴史的な強さ」に、今のニックスがあと2勝で並ぶところまで来ています。

この記事のポイント
  • 連勝は13 ── 単一プレーオフで史上2番目。1位は2017ウォリアーズの15連勝(その年優勝)。あと2勝で並ぶ
  • 両方アウェイで開幕2-0 ── 史上3チーム目。並ぶのは1993ブルズと1995ロケッツ、両方その年優勝
  • Wembyは戻った、でも仕組みが勝った ── 29点11/21でリム奪還は達成、それでも1点差は仕組みのニックスへ

背景と文脈 ── 「両方アウェイで開幕2-0」は史上3チーム目

おさらいから。会場ローテーションは第1・第2戦がサンアントニオ(SAS)、第3・第4戦がニューヨーク(NYK)。つまりニックスは、ファイナルの最初の2試合を"両方アウェイ"で戦って、両方勝った、ということになります。

これ、ファイナルの歴史で3回目です[2]。並ぶのは2チームだけ。

1993年のブルズ、Michael Jordan のチーム。そして1995年のロケッツ、Hakeem Olajuwon のチーム。どちらも、その年に優勝しています。

ここ、第1戦プレビューと第1戦リキャップを読んでくれた方には、ちょっと笑ってほしいんです。私たちはプレビューで「アウェイで第1戦を勝った側がそのまま優勝したのは1995年のロケッツ以来ない」と書きました。そしてG2の翌朝、当のニックスが、その1995ロケッツに並びました。歴史の縦軸に手をかけている、という言い方がいちばん近いと思います。

シリーズは球団史上初のファイナル2-0[3]。1973年の優勝以来、ニックスがファイナルの第2戦を終えて2-0で帰ってきたことは一度もありません。

■ シリーズ状況と歴史データ
・現在のシリーズ NYK 2 - 0 SAS
・第2戦 結果 NYK 105 - 104 SAS(OTなし・1点差)
・第1戦 結果 NYK 105 - 95 SAS
・ニックス プレーオフ連勝 13(単一プレーオフで史上2番目)
・1位は2017ウォリアーズ 15連勝(その年優勝)
・"両方アウェイで開幕2連勝" 史上3チーム目(1993ブルズ・1995ロケッツに並ぶ・両方優勝)
・ニックスの球団史上初のファイナル2-0リード(前回優勝1973年)
・次は第3戦(現地6/7・ニューヨーク MSG)

試合の流れ ── 14点リードから 14-0 ラン、決勝はブランソンのFT

第2戦の山場は第4クォーターでした。ラインスコアを見るとわかりやすいです。

第2戦 クォーター得点(出典:ESPN box)
TEAM1Q2Q3Q4QF
NYK25312821105
SAS34182329104

第1クォーターはスパーズが34-25で取りました。プレビューで「ホームで Wemby がリム周りを取り返せるか」と書きましたが、まさにそのスタート。Wembanyama が立ち上がりからリム周りで仕事をして、SAS が9点リードで第1クォーターを締めます。

ところがニックスは第2クォーター31-18、第3クォーター28-23と、ベンチ込みの総合力で押し返す。第4クォーターの中盤、ニックスは一時14点リードまで広げました。「もう試合は決まった」と思った人も多かったはずです。

ここから第4クォーターのスパーズが反撃。14-0のラン。Wembanyama の3点プレー(残り57秒)で104-102とついに逆転します。MSG じゃなくて AT&Tセンターの大歓声、ホームの空気が完全に SAS 側に振れた瞬間でした。

しかし最後の45秒で2つのことが起きます。1つは Brunson の同点バスケット。もう1つは、Wembanyama のターンオーバー。これが命取りでした。Brunson が残り9.5秒で決勝のフリースロー1本を沈め105-104。Wembanyama のラストショット(ジャンパー)は、リムに弾かれて落ちました。

詳細分析 ── Wembyは戻った、でも仕組みが勝った

ここが今日いちばん書きたいところです。

第1戦のプレビューで、私たちはスパーズの最大の鍵を「Wemby がリム周りを取り返せるか」だと書きました。第1戦は26点・6/21・3P 2/9・6ターンオーバー、しかも自分のシュート21本中ペイントは9本(普段は58%)。本来いちばん得意な"中"から押し出されていた、と整理しました。

第2戦のWemby。29点・FG 11/21・3P 2/6・FT 5/8・リバウンド9[4]。リム周りで仕事を取り返しています。シュート効率は52.4%。プレビューで指摘した「リム奪還」は、達成された側です。

それでもスパーズは1点差で負けました。ここに今シリーズの構造が出ています。

私はミニバスのコーチを3年やっていますが、子どもたちのチームでも全く同じ場面に出会います。エースが調子を落とした試合で勝てないのは普通。問題は、エースが復調した試合でも勝てないチームがある、ということ。これは、エース以外の4人が"エース不調を補う動き"のままで止まっていて、エース復調モードに切り替われていない、というケースが多いんです。

スパーズの第2戦は、まさにそれに近かったと思います。Wemby が戻った。Fox も20点で前戦の7点から完全復活。それでも105-104で落としたのは、ニックスの「仕組み」が、エース2人の復調を1点差ぶん上回ったからです。

ニックスの内訳がそれを物語ります。

第2戦 選手スタッツ(二桁得点者・出典:ESPN box+NBA.com公式)
選手PTSREBAST3PFG
NEW YORK KNICKS
32K. Towns211343/58/12
25M. Bridges20664/68/13
11J. Brunson20562/87/25
8O. Anunoby17432/55/10
SAN ANTONIO SPURS
1V. Wembanyama29922/611/21
4D. Fox20352/28/12
24D. Vassell14953/74/9
5S. Castle14442/45/14
※ 数字は PTS / REB / AST、3P・FG は (成功/試投)。Brunson は5スティールでチーム最多。出典:ESPN box(gameId 401859964)。

Towns 21-13-4(3P 3/5)、Bridges 20点6リバウンド6アシスト(3P 4/6)、Brunson 20点・5スティール(FG 7/25と効率は下振れ)、Anunoby 17点。二桁得点4人で78点。Brunson の効率は明らかな下振れ(FG 28%)なのに、それを Towns・Bridges・Anunoby が補って、最終盤に Brunson が決勝点を運ぶ。「個人の谷を、仕組みが埋める」。これがニックスの強さの正体です。

スパーズも二桁が4人(Wemby 29/Fox 20/Vassell 14/Castle 14)。数だけ見れば同じです。でも違うのは、得点分布の"使い方"。Wemby と Fox の2人で49点、残り55点を9人で分けています。ニックスは Brunson の20点が「効率の悪い20」なのに、それでもチーム全体が機能した。スパーズは Wemby が良かったのに、その「良い29」を周りが結びつけきれなかった。

最後の Wemby のラストショットがリムに弾かれた、というのが象徴的でした。プレビューで「アウェイ先勝の優勝率は47%=薄氷」と書きました。その薄氷が、最後の1本でひび割れずに、ニックス側に渡った。Wembanyama がいちばん"リムから取り返したかった"中の一本だったはずです。

13連勝の中身 ── 平均的な連勝じゃない

連勝13、と書くと「すごい」で止まりがちですが、中身を見るとさらに怖いです。

ニックスは今プレーオフ、平均得点差+19.4でファイナルに上がってきました。これはファイナル進出時点でプレーオフ史上最高クラス。要は「接戦を競り勝ってきた13連勝」ではなく、「ほとんどを大差で勝ってきた連勝」だったんです。

そこに、105-104の1点差が乗りました。"大差連勝"の終盤に、勝ち方の引き出しを1つ増やしたわけです。エースが効率悪い日にも、薄氷の1点差でも勝てる。種類の違う勝ち方がストックされていく、というのはシリーズ後半に効いてきます。

2017ウォリアーズの15連勝に並ぶには、あと2勝。確率の話だけしておくと、ファイナルで2-0から逆転されたのは過去39回中わずか4回(2016ウォリアーズ・2006マーベリックス等)。87%が2-0のチームがそのまま優勝しています。「平均的な勝者じゃない」と書いてきたニックスは、今、平均的な数字でいうと優勝率87%の側に立っています。

今後の展望 ── 舞台はMSGへ

第3戦は現地6/7、ニューヨークの MSG です。ここから第3・第4戦は連続でホーム。

スパーズの修正点ははっきりしています。Wemby が良くてもチームが噛み合わなかった「個人の点を、5人の試合に結びつける作業」。具体的には、Wemby と Fox 以外の3人目(Vassell か Castle か Harper か)が、もう一段上の数字を出すこと。Castle 14、Vassell 14 ── このどこかが20点台に乗らないと、ニックスの"仕組み"を1点差で超えるのは難しいです。

ニックス側は「同じことをやり続ければいい」状況です。Brunson の効率が戻れば、シリーズはほぼ手中。1973年以来のファイナル制覇まで、あと2勝です。

ところで、両方アウェイで開幕2-0をした1993ブルズも1995ロケッツも、その後どうしたか。ブルズはホーム2連敗してから連勝して4-2。ロケッツはホームでもそのまま勝って4-0。シリーズの形はそれぞれ違いますが、結果は両方、優勝。歴史の縦軸は「アウェイ2連勝を取れた側が優勝してきた」と言っています。

⏭ 次の試合はこう見る
次は Game 3(現地6/7・ニューヨーク MSG)。今日伸ばした13連勝がどこまで続くか。ファイナルで2-0からの逆転は過去87%が失敗=ニックス優位、でも舞台は初めてのホームです。スパーズの巻き返しは"WembyとFox以外の3人目が20点を取れるか"が条件になります。

出典

[1] ニックスのプレーオフ連勝13=単一プレーオフで史上2番目(2017ウォリアーズ15連勝に次ぐ):Yahoo Sports「Longest NBA playoff win streaks: How Knicks' 13-game unbeaten run compares to 2017 Warriors and more」(2026-06-06)/NBA.com「Knicks' 12-game postseason win streak has them on pace for history」(試合後+1)
[2] ファイナル開幕2連勝を"両方アウェイ"で達成した史上3チーム目(1993ブルズ・1995ロケッツに並ぶ・両方優勝):ESPN「Knicks survive Spurs rush for 2-0 NBA Finals lead」(2026-06-06)
[3] 球団史上初のファイナル2-0シリーズリード:ESPN(同上)/NBA.com「Recap: Knicks win a classic, take commanding 2-0 lead in the 2026 NBA Finals」
[4] 個別スタッツ(Wembanyama 29-9・FG 11/21・3P 2/6/Brunson 20-5-6 5steal/Towns 21-13-4/Bridges 20-6-6 3P 4/6):ESPN box(gameId 401859964)/NBA.com 公式 box
𝕏この記事をシェア

NBA 視聴

NBA on PrimeをAmazonで観る

プレーオフ含む主要試合を日本語実況で配信中

Amazon Prime Videoを見る →

※ 本リンクはアフィリエイト広告を含みます

この記事、どうでしたか?

← 一覧に戻る