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戦術分析

4-9 ── サンダー対スパーズ WCF Game 6 リキャップ、Wembyの3P復活でSASが118-91圧勝、3-3G7

公開日2026.05.29編集部 · 5 min
戦術分析NO. 09
4-9
WEMBY 3PT G6

サンダー対スパーズ、西カンファレンス・ファイナル(西の優勝決定シリーズ)の第6戦。負ければ終わりのスパーズが、サンダーを118-91で叩きのめしました。点差は27点。シリーズはこれで3勝3敗のタイ(並び)に戻り、すべては最終決戦の第7戦に持ち越されます。

主役は、やはりこの選手でした。ビクター・ウェンバンヤマ(以下Wemby)。前戦・第5戦で3ポイントを「0本中5本」とまったく決められず沈黙していた彼が、この日は3ポイント9本中4本成功。第1クォーターだけで3本を沈めて、試合の流れを最初から自分の手で作りました。

前戦の記事で私たちが投げかけた問い ──「沈黙したエースの3ポイントは、本当に戻るのか」。その答えが、27点差という最もわかりやすい形で返ってきた一戦です。

この記事では、試合前に挙げていた「3つのサイン」の答え合わせをしながら、なぜスパーズがここまで一方的に勝てたのか、その正体を分解していきます。

この記事のポイント
  • 前戦3ポイント「0/5」で沈黙したWembyが、今戦は「4/9」で完全復活。第1クォーターから3本沈め、エースの一本目がチーム全体の足を軽くした
  • スパーズが27点差で圧勝し、負ければ敗退の崖っぷちから連勝を阻止。シリーズは3勝3敗のタイに戻った
  • すべては5/31(土)朝のG7(第7戦・最終決戦)へ。勝った方がNBAファイナル進出、相手は東を制したニックス

試合前の「3つのサイン」、答え合わせ

前日のプレビュー記事で、私たちは「この3つを見れば試合の行方が読める」というサインを3つ出していました。順番に答え合わせをします。

サイン①:Wembyの3ポイントは戻るか。 プレビューでの基準は「5本以上撃って2本以上入れば、前戦の沈黙は偶然だった証拠」。結果は9本撃って4本成功。基準を大きく上回る、文句なしの復活でした。撃った本数も入った本数も、どちらも合格ラインのはるか上です。

サイン②:サンダー側のベンチが機能するか。 こちらは控えめに言って、サンダーはチーム全体が振るいませんでした。チーム全体の3ポイントは40本中10本(25%)と低調。ベンチを含めて、最後まで噛み合わないまま試合が終わりました。

サイン③:第2クォーターでスパーズがリードを取れるか。 「ホームの勢いに乗れるかどうかは前半のリードで決まる」と書いていました。結果、前半はスパーズが60-53でリード。そして後半、ここで触れた「勢い」が、想像を超える形で爆発します。

■ 最終スコア SAS 118 - 91 OKC(点差27)
■ 前半終了  SAS 60 - 53 OKC
■ 第3クォーター SAS 32 - 13 OKC(20-0のランを含む)
■ 第3クォーター終了 SAS 92 - 66(リード26点)
■ チーム3P SAS 15/41(37%) vs OKC 10/40(25%)
■ Wemby 28点・10リバウンド・2アシスト・3ブロック・2スティール
■ Wemby FG 10/21/3P 4/9/出場28分
■ SGA 15点・FG 6/18・3P 0/5・4アシスト
■ Dylan Harper(SASルーキー) 18点・FG 6/9・3P 2/3・22分
■ Stephon Castle(SAS) 17点・9アシスト・5リバウンド・FG 5/10・32分
■ シリーズ OKC 3 - 3 SAS(G7は5/31 OKC開催)

選手スタッツ一覧(box score)──Wemby 3P4-9で復活、OKCは最高15点に封印

WCF Game 6 選手スタッツ(二桁得点者)
選手PTSREBAST3PFGMIN
サンアントニオ・スパーズ
#1Victor Wembanyama281024-910-2128
#2Dylan Harper18642-36-922
#5Stephon Castle17590-25-1032
#24Devin Vassell12124-74-726
#30Julian Champagnie10622-64-825
オクラホマシティ・サンダー
#2Shai Gilgeous-Alexander15140-56-1828
#3Jared McCain13262-34-1127
#22Cason Wallace11313-44-620
#7Chet Holmgren101110-14-824
#55Isaiah Hartenstein10530-05-1016

PTS=得点/REB=リバウンド/AST=アシスト/3P=3P成功-試投/FG=FG成功-試投/MIN=出場時間。背番号は選手名の左。二桁得点者のみ掲載。出典:ESPN/Basketball-Reference。

この数字の読み方

前戦G5で3P0-5だったWembyが、G6は3P4-9と復活。これでSASは二桁5人が回り、対するOKCは最高がSGA15点(FG6-18に封印)。エースの3Pが戻った途端、チーム全体が別物になる──27点差の正体は、この「最初の1本」の引き算でした。

27点差の正体は、シンプルな引き算だった

27点差と聞くと「何か特別なことが起きた」と思いがちですが、中身はとてもシンプルです。スパーズの3ポイントは41本中15本で37%、サンダーは40本中10本で25%。撃った本数はほぼ同じなのに、決めた本数は15本対10本。

3ポイントは1本3点なので、この5本の差だけで15点。さらに成功率の差が試合を通じて積み重なり、最終的に27点差になりました。派手な逆転劇ではなく、確率の差が静かに積み上がった結果の圧勝です。

そしてもう一つの正体が、エースの封じ込めです。サンダーのシェイ・ギルジャス・アレキサンダー(以下SGA)は、シーズンMVP級の得点源。そのSGAをスパーズは15点・18本中6本(3ポイントは5本中0本)に抑え込みました。シリーズを通して最も悪い出来です。チームの一番の蛇口を締めれば、相手の得点は当然細る。守備の設計がきれいに機能した一戦でした。

「最初の1本」が、チームを別物にする

この試合で一番象徴的だったのは、Wembyが第1クォーターに3ポイントを立て続けに3本決めた場面です。前戦で0本だった選手が、いきなり3本。これがチーム全体に与えた効果は、数字以上に大きかったと思います。

私はミニバスのコーチを3年やっていますが、現場で何度も見てきた光景があります。エースの最初の1本が入ると、チーム全員の足が急に軽くなる。同じメンバー、同じ作戦なのに、走り出しのスピードも、パスを呼ぶ声の大きさも変わる。「今日はいける」という空気が、ベンチまで伝わるからです。

逆に前戦のように一番の得点源が決められないと、周りが「自分が決めなきゃ」と力んで、チーム全体が固くなる。Wembyの「4/9」は、単に12点を稼いだという話ではなく、チームの空気そのものを軽くした4本だった、という見方ができます。

もう一つ、第3クォーターの32-13、その中に含まれる20-0のラン(連続得点)にも触れておきます。20点を連取される間、相手は1点も返せていません。こういう時間帯、守られている側のコートでは決まって声が消えます。これもコーチをしていると肌で分かることで、点を取られ続けるチームは、まず声かけが止まり、次に足が止まる。サンダーがこの第3クォーターで止まってしまったことが、26点リードという後半立ち上がりの大差を生みました。Wembyが第4クォーターの残り9分以上をベンチで休めたのも、それだけ早く試合が決まっていた証拠です。

脇を固めた控え陣も見事でした。ルーキーのディラン・ハーパーが18点(9本中6本、3ポイント2本中2本)、スティーブン・キャッスルが17点に9アシスト。エースが流れを作り、若手がそれを途切れさせなかった。崖っぷちのチームとは思えない、落ち着いた勝ち方でした。

すべては第7戦へ ── 勝者がそのままファイナルへ

このシリーズは3勝3敗。つまり、次の第7戦が文字どおりの最終決戦です。第7戦は日本時間5/31(土)朝9時、サンダーのホームで行われます。

第7戦は「ここまでの6試合が全部リセットされる一発勝負」です。これまでの勝ち負けは関係なく、勝った方だけが次に進む。勝者はそのままNBAファイナル(優勝決定シリーズ)へ、敗者はここでシーズン終了です。

ファイナルの相手はすでに決まっています。東を制したニックス(ニューヨーク)。東カンファレンス・ファイナルを4戦全勝のスイープで勝ち抜き、27年ぶりのファイナル進出を決めました。ファイナルは米国時間6/3に開幕します。

第7戦、どこを見れば流れが読めるか

ここまでの6試合は「ホームのチームが勝つ」という色が濃く出ています。その意味で、ホームに戻るサンダーがまず有利な立場。ただしこの第6戦で、スパーズは敵地だろうが関係なく勝てる引き出しを見せました。

注目は2つです。1つは、SGAが第6戦の15点・6/18から立て直せるか。エースが普段どおりに戻れば、サンダーの得点力は一気に上がります。もう1つは、Wembyが「4/9」の感覚を最終戦でも保てるか。第5戦から第6戦で振れ幅が大きかっただけに、第7戦のWembyがどちらの顔で現れるかが、シリーズの結末をそのまま決めると見ています。

結び

前戦、私たちは「沈黙したエースの3ポイントは戻るのか」と問いました。スパーズはその問いに、27点差という最大級の音量で「戻る」と答えてみせた。エースの調子ひとつで、チームはここまで姿を変える。バスケットボールという競技の正直さが、まるごと詰まった一戦でした。

ここまで6試合、両チームは互いの手の内をすべて見せ合いました。最後の1試合に、もう隠し球はありません。残っているのは、その日いちばん良いバスケットを、より多くの時間できた方が勝つ ── ただそれだけです。日本時間5/31の朝、どちらが先にファイナルへの扉を開けるのか。最後まで見届けましょう。

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