日本時間5月19日朝、ウェスタン・カンファレンス・ファイナル Game 1。スパーズが 122-115(2OT)でサンダーを下し、シリーズリード(1勝0敗)を取りました。
結果だけ見れば「RS で 4-1 と勝ち越していた天敵スパーズが、Game 1 を取った」。これは予想通りです。でも、Game 1 でいきなり2OTになるとは、誰も予想していませんでした。Game 1 の2OTは NBA プレーオフ史上6回目、2013年の Spurs-Warriors 以来13年ぶりの死闘です。
そして、本記事の鍵はもう1つ。今朝の Court Vision 記事「MVP vs DPOY──JW復帰のサンダー、Wembyのスパーズ、WCF Game 1 を分ける戦線」で提示した 3つの予想(Wembyペイント支配・若手の3P/覚醒・天敵スパーズ)が、全部 Game 1 で答え合わせされたこと。順番に振り返ります。
今朝の WCF Game 1 プレビューで、Court Vision は3つの「Game 1 を分ける戦線」を提示しました。
結果として、3つ全部が Game 1 で現実化しました。「Spurs が Game 1 を取った」自体は予想通り。でも Game 1 でいきなり2OT は誰も予想していなかった濃度です。
| 選手 | PTS | REB | AST | 3P | FG | MIN |
|---|---|---|---|---|---|---|
| サンアントニオ・スパーズ | ||||||
| #1Victor Wembanyama | 41 | 24 | 3 | 1-2 | 14-25 | 49 |
| #2Dylan Harper | 24 | 11 | 6 | 1-7 | 8-20 | 47 |
| #5Stephon Castle | 17 | 6 | 11 | 1-6 | 5-14 | 49 |
| #24Devin Vassell | 13 | 6 | 2 | 3-9 | 5-12 | 51 |
| #3Keldon Johnson | 13 | 0 | 0 | 3-6 | 4-9 | 22 |
| #30Julian Champagnie | 11 | 9 | 1 | 3-11 | 4-12 | 44 |
| オクラホマシティ・サンダー | ||||||
| #9Alex Caruso | 31 | 2 | 1 | 8-14 | 11-19 | 32 |
| #8Jalen Williams | 26 | 7 | 3 | 1-3 | 11-25 | 37 |
| #2Shai Gilgeous-Alexander | 24 | 3 | 12 | 2-7 | 7-23 | 51 |
PTS=得点/REB=リバウンド/AST=アシスト/3P=3P成功-試投/FG=FG成功-試投/MIN=出場時間。背番号は選手名の左。二桁得点者のみ掲載。出典:ESPN/CBS Sports。
2OTの総力戦は出場時間に出ます。Vassell 51分、Wemby・Castle 49分、Harper 47分──SAS主力が全員45分超で戦い抜きました。対するOKCはCaruso 31点(FG11-19)のベンチ爆発が光るも二桁は3人。ミニバスでも延長戦は「最後に足が残っている方」が勝ちます。スターターの総力で押し切った夜でした。
今朝の予想で最も重視したのは、「Wemby の DPOY 守備が SGA のドライブを抑える」という構図でした。結果、その通りどころか、想定を超える形で実現しました。
SGA は前半 FG 1/5・4点。最終的には24点12アシストまで戻したものの、FG 7/23(成功率30%)は MVP受賞翌日の試合としては衝撃的な数字です。Wemby が中央で守って、SGA がリムまで届かない場面が前半繰り返されました。
そして Wemby 自身は 41点24リバウンド(FG 14/25・3P 1/2・FT 12/13、49分)。22歳134日でこの数字を出したのは、NBAプレーオフ史上最年少の40+20達成です。これまでの記録は1970年プレーオフ・東地区決勝 Game 5(vs 76ers)で46点25リバウンドを叩き出した Kareem Abdul-Jabbar(当時 Lew Alcindor)。56年ぶりに塗り替わりました。
第4Q終了直前、Wemby のオフバランスシュートを Holmgren がブロックして 101-101 のまま OT 突入。OT1 終盤に Wemby が 同点の3P を決めて2OT へ。OT2 終盤は Wemby の連続ダンク(うち1つは and-1)でスパーズが突き放しました。
今朝の予想②は 「若手の3P/覚醒がスパーズを支える」でした。Game 1 で最も明確に答え合わせされたのが、ここです。
主役は Dylan Harper(2025ドラフト2位指名のルーキー)。24点・スパーズPO チーム記録の7スティールを記録しました。ルーキーがPOで7STLは、リーグ全体でも数えるほどしかない数字です。今朝の記事で「Tim Duncan 以来のルーキー2回ダブルダブル」と紹介した男が、Game 1 でさらに上を行ったわけです。
同じく若手の Stephon Castle(2024-25 ROY)が 17点。Devin Vassell・Keldon Johnson が 各13点、ベンチの Julian Champagnie が 11点。Wemby 以外で5人がふた桁得点という、層の厚さが Game 1 の勝利を支えました。
今朝の予想③は 「RS で 4-1 と勝ち越したスパーズが、Thunder 唯一の天敵」。これも完全に Game 1 でそのまま現実化しました。
Wemby のペイント支配 + 若手の3P + チーム全体での得点分散── RS で機能していたスパーズの勝ち方が、PO Game 1 でも同じ構造で機能しました。RS の数字は PO で別人のように仕上がると言われがちですが、相性の悪さは PO まで持ち越されることが、ここで証明された格好です。
ただし、「Game 1 を2OT で取った」自体は予想を超えた濃度。Spurs の勝ち方が想定より遥かに激しく、Thunder 側も Caruso 31点(3P 8/14)・JW 復帰戦26点で食い下がりました。Game 1 から2OT は NBA PO 史上6回目、2013年 Spurs-Warriors 以来13年ぶりです。
もう1つ、勝敗を分けた地味な数字が リバウンド差 SAS 61・OKC 40(+21)。スパーズは TO 21 と Thunder の14より7個多い ── つまり攻撃機会を失う場面が多かったのに、それを上回るリバウンド支配で取り返した。Wemby 24、Harper 11、Champagnie 9 と、ビッグ以外の選手まで体を張ってリバウンドを拾ったのが大きい。
サンダー側で機能したのは2人。
Alex Caruso がベンチから31点、しかも3P 8/14(57%)。これは キャリア2番目の高得点です。普段はディフェンス専門のスペシャリストが、Game 1 で「3Pシューター」として化けた。SGA が前半 1/5 で苦しむ中、Caruso のキャッチ&シュートがチームを繋いだ格好です。
そして 26日ぶり復帰の Jalen Williams が26点。出場時間制限が見込まれていた復帰戦で、いきなりこの得点です。今朝の予想「JW 復帰でサンダー完全体」は、個人パフォーマンスとしては機能しました。ただし、それでも勝てなかったのが今夜の結論です。
Game 1 で2OT に突入したのは、NBA プレーオフ史上6回目。直近は 2013年 Spurs-Warriors の WCSF Game 1(13年ぶり)。ちなみにこの時もスパーズが勝っています。
Game 1 が2OT になる確率は、過去のPO Game 1 を母数で考えるとごく稀。普通の Game 1 はチーム同士が様子見をする「ジャブ的展開」になることが多い中で、今夜は 規定時間で 101-101 の同点・OT1 で Wemby が28秒残しの3P という、シリーズ最終戦級の濃度でした。
この「Game 1 の濃度」自体が、シリーズ全体の予測を難しくします。今後の試合がどうなるのか、想像もつかない。Court Vision で5/19朝に書いた予想は当たりましたが、シリーズ全体の予測はここから完全に未知数です。
シリーズは 1-0 で Spurs リード。Game 2 は日本時間5/21(木)朝9:30、ホーム OKC 開催が続きます。サンダーの調整ポイントは2つ。
第1に、SGA の前半シューティング。Game 1 の前半 FG 1/5・4点は、シリーズが続けば致命的です。Wemby を引き出すペイント以外の得点ルート(ミッドレンジ、kick-out 3P)を Game 2 で見せられるか。
第2に、Wemby のペイント侵入を抑える具体策。Holmgren と Caruso のローテーション守備で、Wemby の連続ダンクを最後まで止めきれなかった。Game 2 で Daigneault HC がどんなアジャストを見せるかが鍵です。
3つの予想が現実化、Game 1 史上6回目の2OT、Wemby の歴史的40+20── 白熱の Game 1 でした。次は 日本時間5/21(木)朝9:30、舞台は引き続き OKC で続きが始まります。
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