2026年5月11日、オクラホマシティ・サンダーがロサンゼルス・レイカーズをGame4で115-110と退け、シリーズを4-0のスウィープで終わらせた。これでサンダーは今プレーオフ通算8勝0敗。NBA史上、連覇に挑戦する前年王者がプレーオフ序盤を8連勝でスタートしたのは2017年のキャバリアーズ以来、史上4チーム目だ。さらに平均得点差+16.6点は、現行の16チーム制プレーオフに移行した1983-84シーズン以降で歴代5位の高さ。前年王者が2回戦すら突破できなかった7年間の「連覇カース」を、サンダーが破壊する軌道に乗り始めた。本稿ではその「完璧」の中身を、数字で分解する。
NBAは2018-19シーズンを最後に連覇チームを生み出していない。Stephen Curry・Kevin Durantを擁したウォリアーズが2017-18ファイナルを制した後、続く7シーズンは毎年違うチャンピオンが誕生。ラプターズ→レイカーズ→バックス→ウォリアーズ→ナゲッツ→セルティックス→サンダーと7連続で王者が入れ替わるのはNBA史上最長記録だ。サンダーは2024-25シーズンにフランチャイズ46年ぶり(前身シアトル・スーパーソニックスの1979年以来、オクラホマシティ移転後は初)の優勝を果たし、今季はレギュラーシーズン64勝18敗で西1位を獲得。プレーオフではフェニックス・サンズをR1で、レイカーズをR2で連続スウィープし、8試合をすべて勝った。ウェスタン・カンファレンス・ファイナル(WCF)はスパーズとティンバーウルブズの勝者と5月17日開幕予定だ。
サンダーの強さは3つの要素に分解できる。1つ目はオフェンス効率(オフレーティング=100ポゼッション当たりの得点)の高さだ。レギュラーシーズンでリーグ屈指の数値を維持し、SGAが平均得点・効率を両立させたうえに、ロールプレイヤーがコーナー3Pを高確率で沈める構造になっている。2つ目はディフェンス効率(ディフレーティング=100ポゼッション当たりの失点)。マーク・デイグノーHCがR1から徹底する「ターンオーバー誘発→速攻」の設計は今プレーオフでも継続中で、リーグ最上位の守備指標を維持している。
そして3つ目がベンチデプス(控え選手層の厚さ)だ。サンダーは今季ベンチ平均40.7点とリーグでもトップ級。Game4ではJalen Williamsを欠きながら、Ajay Mitchellがキャリアハイ28点。ドラフト2巡目の若手が、連覇王者のスターターと遜色ない数字を出している事実が、このチームの本質を象徴している。「SGAを止めても、別の選手が決めてくる」。レイカーズはこの構造を最後まで崩せなかった。
ここで過去7年、前年王者がなぜ連覇できなかったかをコンパクトに整理する。2018-19 ウォリアーズはファイナルまで進んだが、Kevin DurantとKlay Thompsonが立て続けに大ケガで離脱し、ラプターズに2-4で敗北。2019-20 ラプターズはオフにKawhi Leonardが退団した時点で連覇候補から外れ、2回戦でセルティックスに3-4で敗退。2020-21 レイカーズはLeBronとAnthony Davisが故障に苦しみ、1回戦でフェニックス・サンズに2-4で敗北。2021-22 バックスはKhris Middletonが負傷離脱、2回戦でセルティックスに3-4で敗退。2022-23 ウォリアーズは戦力構成の高齢化と若手のフィット不足で2回戦でレイカーズに2-4で敗退。2023-24 ナゲッツは2回戦でティンバーウルブズに3-4で敗北、Game7で20点差をひっくり返されるプレーオフ史上最大級の逆転を許した。2024-25 セルティックスはJayson Tatumがアキレス腱断裂で離脱、2回戦でニックスに2-4で敗退。共通項は「主力の故障」「ロースター流出」「戦術陳腐化」のいずれかだ。サンダーが同じ轍を踏むかは、Jalen Williamsの復帰時期と層の厚さがどこまで持続するかで決まる。
WCFの相手は本日(5月14日)終了するスパーズとティンバーウルブズの勝者だ。Wembanyamaが本格的に台頭したスパーズが上がってくれば、若き才能どうしの対決はNBAの未来図を決める一戦になる。ウルブズが勝てばEdwardsの4Q決定力との真っ向勝負だ。どちらが相手でも、サンダーはGame4で見せた「終盤の集中力」が課題として残る。デイグノーHC自身が試合後に「Game4は前3試合より集中の途切れが多かった」と認めた通り、48分通して圧倒する完成度には到達していない。東カンファレンスの最終勝者はニックス/ピストンズ/キャバリアーズのいずれかになる見込みで、ファイナルでは「経験豊富なポイントガード(Brunsonら)vs 若いサンダー」という構図が予想される。連覇への壁は、過去7年で誰も超えられていない。
八村塁が所属するレイカーズはサンダーに0-4でスウィープされて今シーズンを終えた。Doncic不在という事情はあったが、相手がNBA史上有数のレベルにあったことも数字が示している。今プレーオフでサンダーは平均得点差+16.6点。これは1983-84シーズン以降の連覇挑戦チームで歴代5位の支配力だ。レイカーズが「ベンチデプスでサンダーに追いつくこと」を来季のオフ補強テーマに据えるなら、八村塁の役割はさらに拡大する。日本人エースが「Playoff Rui」と呼ばれた今シリーズの数字は、来季のレイカーズが再びこの相手と当たるための重要な財産だ。連覇を阻むためにも、八村塁のシューターとしての存在感は西カンファ全体の地図に組み込まれていく。
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