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データ分析

サンダー「プレーオフ8-0」が意味するもの——ウォリアーズ以来8年ぶり連覇への完璧な軌道

公開日2026.05.14編集部 · 11 min
データ分析NO. 36
8-0
PLAYOFF RUN

2026年5月11日、オクラホマシティ・サンダーがロサンゼルス・レイカーズをGame4で115-110と退け、シリーズを4-0のスウィープで終わらせた。これでサンダーは今プレーオフ通算8勝0敗。NBA史上、連覇に挑戦する前年王者がプレーオフ序盤を8連勝でスタートしたのは2017年のキャバリアーズ以来、史上4チーム目だ。さらに平均得点差+16.6点は、現行の16チーム制プレーオフに移行した1983-84シーズン以降で歴代5位の高さ。前年王者が2回戦すら突破できなかった7年間の「連覇カース」を、サンダーが破壊する軌道に乗り始めた。本稿ではその「完璧」の中身を、数字で分解する。

背景と文脈:連覇が止まった「失われた7年」

NBAは2018-19シーズンを最後に連覇チームを生み出していない。Stephen Curry・Kevin Durantを擁したウォリアーズが2017-18ファイナルを制した後、続く7シーズンは毎年違うチャンピオンが誕生。ラプターズ→レイカーズ→バックス→ウォリアーズ→ナゲッツ→セルティックス→サンダーと7連続で王者が入れ替わるのはNBA史上最長記録だ。サンダーは2024-25シーズンにフランチャイズ46年ぶり(前身シアトル・スーパーソニックスの1979年以来、オクラホマシティ移転後は初)の優勝を果たし、今季はレギュラーシーズン64勝18敗で西1位を獲得。プレーオフではフェニックス・サンズをR1で、レイカーズをR2で連続スウィープし、8試合をすべて勝った。ウェスタン・カンファレンス・ファイナル(WCF)はスパーズとティンバーウルブズの勝者と5月17日開幕予定だ。

データブロック①:サンダー今プレーオフの数字

■ プレーオフ通算成績:8勝0敗(R1サンズ4-0、R2レイカーズ4-0)
■ 平均得点差:+16.6点(16チーム制移行後の1983-84シーズン以降で歴代5位)
■ 今季レイカーズとの直接対戦(レギュラーシーズン含む全8試合)通算得点差:+181点(NBA史上同一相手シーズン対戦差で歴代4位)
■ レギュラーシーズン成績:64勝18敗(西1位・Maurice Podoloff Trophy=レギュラーシーズン最高勝率チームに贈られる賞を2年連続獲得=史上初の連覇)
■ レギュラーシーズン平均ベンチ得点:40.7点(リーグトップ級)
■ Game4スコア:サンダー 115 – レイカーズ 110
■ SGA Game4:35点・8アシスト(フリースロー12点)
■ Ajay Mitchell Game4:キャリアハイ28点・4アシスト・4スティール(4Q だけで10点)
■ Chet Holmgren Game4:16点・4Qは4-of-4のフィールドゴール・残り32.8秒の決勝ダンク
■ チームDRtg(レギュラーシーズン):107.7前後(リーグ最上位水準)
■ Jalen Williams:R1途中に左ハムストリングを痛め、レイカーズ戦は全休

詳細分析:なぜ「完璧」と呼べるのか

サンダーの強さは3つの要素に分解できる。1つ目はオフェンス効率(オフレーティング=100ポゼッション当たりの得点)の高さだ。レギュラーシーズンでリーグ屈指の数値を維持し、SGAが平均得点・効率を両立させたうえに、ロールプレイヤーがコーナー3Pを高確率で沈める構造になっている。2つ目はディフェンス効率(ディフレーティング=100ポゼッション当たりの失点)。マーク・デイグノーHCがR1から徹底する「ターンオーバー誘発→速攻」の設計は今プレーオフでも継続中で、リーグ最上位の守備指標を維持している。

そして3つ目がベンチデプス(控え選手層の厚さ)だ。サンダーは今季ベンチ平均40.7点とリーグでもトップ級。Game4ではJalen Williamsを欠きながら、Ajay Mitchellがキャリアハイ28点。ドラフト2巡目の若手が、連覇王者のスターターと遜色ない数字を出している事実が、このチームの本質を象徴している。「SGAを止めても、別の選手が決めてくる」。レイカーズはこの構造を最後まで崩せなかった。

データブロック②:2017-18ウォリアーズとの比較

【レギュラーシーズン】
■ 2025-26 サンダー:64勝18敗(勝率.780・西1位)
■ 2017-18 ウォリアーズ:58勝24敗(勝率.707・西2位)

【プレーオフ序盤の進行】
■ 2025-26 サンダー:R1サンズ 4-0、R2レイカーズ 4-0(8-0)
■ 2017-18 ウォリアーズ:R1スパーズ 4-1、R2ペリカンズ 4-1、WCFロケッツ 4-3、ファイナル 4-0

【エースの個人プレーオフスタッツ】
■ Shai Gilgeous-Alexander(今プレーオフ8試合):MVPファイナリスト級、Game4で35点
■ Kevin Durant(2017-18プレーオフ21試合):平均29.0点・FG48.7%・7.8リバウンド・4.7アシスト
■ Stephen Curry(2017-18プレーオフ15試合):平均25.5点・FG45.1%・3P39.5%

【ベンチデプス】
■ サンダー:Ajay Mitchell(Game4キャリアハイ28点)・Holmgren・Cason Wallace・Caruso・Jared McCainら層の厚さ
■ ウォリアーズ2017-18:Andre Iguodala(プレーオフ平均8.1点)、Shaun Livingston(FG53.6%)、David West(FG60.0%)、JaVale McGee(FG67.2%)

サブトピック:連覇が途絶えた「7年間の失敗の地図」

ここで過去7年、前年王者がなぜ連覇できなかったかをコンパクトに整理する。2018-19 ウォリアーズはファイナルまで進んだが、Kevin DurantとKlay Thompsonが立て続けに大ケガで離脱し、ラプターズに2-4で敗北。2019-20 ラプターズはオフにKawhi Leonardが退団した時点で連覇候補から外れ、2回戦でセルティックスに3-4で敗退。2020-21 レイカーズはLeBronとAnthony Davisが故障に苦しみ、1回戦でフェニックス・サンズに2-4で敗北。2021-22 バックスはKhris Middletonが負傷離脱、2回戦でセルティックスに3-4で敗退。2022-23 ウォリアーズは戦力構成の高齢化と若手のフィット不足で2回戦でレイカーズに2-4で敗退。2023-24 ナゲッツは2回戦でティンバーウルブズに3-4で敗北、Game7で20点差をひっくり返されるプレーオフ史上最大級の逆転を許した。2024-25 セルティックスはJayson Tatumがアキレス腱断裂で離脱、2回戦でニックスに2-4で敗退。共通項は「主力の故障」「ロースター流出」「戦術陳腐化」のいずれかだ。サンダーが同じ轍を踏むかは、Jalen Williamsの復帰時期と層の厚さがどこまで持続するかで決まる。

今後の展望:WCFとファイナルへの壁

WCFの相手は本日(5月14日)終了するスパーズとティンバーウルブズの勝者だ。Wembanyamaが本格的に台頭したスパーズが上がってくれば、若き才能どうしの対決はNBAの未来図を決める一戦になる。ウルブズが勝てばEdwardsの4Q決定力との真っ向勝負だ。どちらが相手でも、サンダーはGame4で見せた「終盤の集中力」が課題として残る。デイグノーHC自身が試合後に「Game4は前3試合より集中の途切れが多かった」と認めた通り、48分通して圧倒する完成度には到達していない。東カンファレンスの最終勝者はニックス/ピストンズ/キャバリアーズのいずれかになる見込みで、ファイナルでは「経験豊富なポイントガード(Brunsonら)vs 若いサンダー」という構図が予想される。連覇への壁は、過去7年で誰も超えられていない。

日本ファン向け補足:八村塁の相手は「歴史的に強い」

八村塁が所属するレイカーズはサンダーに0-4でスウィープされて今シーズンを終えた。Doncic不在という事情はあったが、相手がNBA史上有数のレベルにあったことも数字が示している。今プレーオフでサンダーは平均得点差+16.6点。これは1983-84シーズン以降の連覇挑戦チームで歴代5位の支配力だ。レイカーズが「ベンチデプスでサンダーに追いつくこと」を来季のオフ補強テーマに据えるなら、八村塁の役割はさらに拡大する。日本人エースが「Playoff Rui」と呼ばれた今シリーズの数字は、来季のレイカーズが再びこの相手と当たるための重要な財産だ。連覇を阻むためにも、八村塁のシューターとしての存在感は西カンファ全体の地図に組み込まれていく。

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