NBAのMVP投票は毎年、数値とナラティブが交差する議論を生む。2025-26シーズン、最終候補(finalist)はNikola Jokić、Shai Gilgeous-Alexander、Victor Wembanyamaの3人に絞られた。データは何を示し、投票者の心理はどこへ向かうのか——複数の指標を用いて票の構造を解剖する。
MVPレースは今季、昨季MVPのSGAと、3度の受賞歴を持つJokićの2強と見られてきた。Jokićはトリプルダブルを量産し、デンバー・ナゲッツを西地区3位(54勝)に導いた。一方SGAはOKCを64勝・地区1位で仕上げ、リーグ最高の効率で個人スタッツを積み上げている。3人目のfinalistは、守備でリーグを支配したWembanyamaだ。Wembanyamaは史上最年少かつ初の満票でDefensive Player of the Yearに選ばれ、スパーズを2019年以来のプレーオフへ押し上げた。実質的にはSGAとJokićの一騎打ちに、Wembanyamaが割って入る構図で、どの軸を重視するかが票を分ける。
MVP投票者(メディア関係者)は主に4つの軸で選手を評価する。1. 個人スタッツの絶対値(得点/リバウンド/アシスト)。2. チームへの貢献度と勝率の相関。3. クラッチパフォーマンス。4. "物語性"(ナラティブ)だ。軸1ではJokićがトリプルダブル量産で有利。軸2・3ではSGAが数値的に優位。軸4は「Jokićが4度目のMVPか」vs「昨季初受賞のSGAが連覇を果たすか」、そして「Wembanyamaの守備が史上初級の評価を勝ち取るか」という対立軸となる。近年の傾向では、「チームが1位シードの選手」への票の流れが強まっており、OKCの地区1位がSGAの後押しになっている。
投票の実態を見ると、「ナラティブ」が数値を上回るケースは少なくない。Jokićが3度目のMVPを取った2024年は、BPMやWinShareでリーグ上位だったが、投票前の議論では「他の選手では?」という声もあった。SGAの今季キャンペーンには、昨季に続く「2年連続MVP」という歴史的側面がある。連覇を達成すればJokić級の評価が確定する一方、Wembanyamaの守備を軸にしたナラティブが票を切り崩す可能性も十分にある。
MVP発表はプレーオフR1終了後となる見込み。R1でSGAがさらに圧倒的なパフォーマンスを見せれば、投票者の「プレーオフの印象」も加点材料になりうる(ただし正式な投票はレギュラーシーズン終了時点)。最終的にはSGAが受賞する可能性が、数値的根拠から見て高いと判断される。
日本でもSGAの人気は急上昇しており、NBAの公式SNSでも日本語コメントが増加傾向にある。SGAのプレースタイルは「スピードと技術の融合」で、日本のプレイヤー育成の観点から見ても参考になる要素が多い。MVP争いを通じてOKCとSGAへの関心が日本でも高まることは、NBAの日本市場拡大にも貢献する。
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