【プレビュー】30 ── ニックス対スパーズ Finals Game 5、王手をかけられたスパーズ、逆襲の条件は後半30点の修正
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前半76点、後半30点。同じ夜の同じチーム
ニックス対スパーズ(Knicks vs Spurs)のNBAファイナルGame 5が、現地6月13日(日本時間6月14日・日曜の朝)にサンアントニオで行われます。シリーズはニックスの3勝1敗。スパーズは、ホームで落とせばそこで終わりという崖っぷちに立った。
原因はGame 4の後半にある。前半に76点を叩き出したスパーズが、後半はわずか30点[1]。27点あったリードを丸ごと溶かし、107-106で敗れました。
ただ、私は後半の崩壊を「ただの悲劇」で終わらせるつもりはありません。後半の30点には、原因がはっきり数字で残っている。直せる場所が見えているなら、逆襲の条件も書けるはず。今日はそこを解剖します。
- 前半76点→後半30点 ── FG59.6%が20.5%へ急落。ファイナル史上最大の29点差逆転を許した
- TO9個>成功FG8本 ── 後半はミスが成功シュートより多かった。Wembanyamaも「欲張りだった」と認める崩壊の正体
- 逆襲の条件はホームG5 ── 3-1からの逆転優勝は過去38例中1例の狭き道。それでも修正点は具体的
背景と文脈:史上最多の前半と、今季最悪の後半
Game 4の前半、スパーズは完璧を超えていた。第1Qだけで41-22。この19点差は、ロードチームがファイナルの第1Qでつけたリードとして史上最大でした。
3Pは前半だけで26本中14本(53.8%)[2]。NBAファイナル史上、1ハーフでの最多3P成功記録になる(従来記録は2017年キャバリアーズの13本)。ハーフタイムのスコアは76-49、その差27点。
ところが後半、同じチームが30点しか取れない。第3Qが14点、第4Qが16点。最大29点差(第3Q途中の81-52)からの逆転負けは、ファイナル史上最大です。
マディソン・スクエア・ガーデンが爆発し、スパーズは沈黙した。107-106。たった1点差で、シリーズの景色が3-1に変わった。
前半 vs 後半、別チームの対比
SAS … 41-35-14-16 = 106
NYK … 22-27-26-32 = 107
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■ スパーズの前半 vs 後半
前半 … 76点 / FG 59.6%(28/47)/ 3P 14-26
後半 … 30点 / FG 20.5%(8/39)
内訳:2P 5-22 / 3P 3-17
Q3 … FG 4-20 / Q4 … FG 4-19
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後半ターンオーバー … 9個(後半の成功FG 8本より多い)
後半ショットクオリティ … 45.7%
=スパーズの今季全ハーフで最悪(ESPN計測)
色の意味はシンプルで、緑はリーグ平均より高効率、赤は低効率。前半はコート全体が緑に染まり、後半はほぼ全域が赤に沈んだ。2枚を見比べるだけで、崩壊の規模が伝わるはず。
ゾーン別で一番重いのはリング下。前半8/10(80.0%)だったのが、後半は2/13(15.4%)まで落ちた。一番確率が高いはずの場所で、最も大きく崩れている。
数字を並べると、前半と後半で別のチームになっている。FGは59.6%から20.5%へ。ただ「シュートが入らなくなった」だけなら確率の揺り戻しで片付くけれど、この表にはもっと重い行が2つあります。
1つ目は「TO9個>成功FG8本」。後半のスパーズは、シュートを決めた回数よりボールを失った回数の方が多かった[1]。攻撃の終わり方として、これ以上悪い形はない。
2つ目がショットクオリティ45.7%。ESPNの計測で、スパーズの今季全ハーフを通じて最悪の数字でした。
「打ったが入らなかった」のではなく、「悪いシュートしか作れなかった」。
詳細分析:「欲張り」を数字に翻訳する
Wembanyamaは試合後、こう認めた。「執行力の問題で、ある種の欲張りだった。後半は明らかに、我々の方がハングリーではなかった」[4]。さらに「崩壊は第4Qの前から始まっていた」とも語っています。
「欲張り(greediness)」を数字に置き換えると、TO9個とショットクオリティ45.7%になる。リードを守ろうと個人で仕掛ける。パスが減り、苦しい1対1のシュートが増える。だからミスが成功FGを上回り、シュートの質が今季最悪まで落ちた。
私が週末に教えている小学生のチームでも、大差で勝っているときほど同じ崩れ方をします。リードすると、子どもたちは「自分が決めて終わらせたい」とボールを止めてしまう。だからコーチは「点差が開いたときほど、ボールと人を動かそう」と声をかけ続ける。NBAの頂上決戦で起きたことも、骨格はまったく同じでした。
G5でスパーズが直すべきことは、だからシンプルだ。点差がどちらに動いても、ボールを止めずに「いいシュート」を作り続けられるか。Wembanyama自身も「この経験を通じて強くなり、もっと一つになる」と前を向いている[4]。修正は精神論ではない。パスとシュート選択という、具体的な行動の話だ。
エースの推移と97.4%の壁
Brunson(NYK)…… 30 → 20 → 32 → 36点(平均29.5)
Wembanyama(SAS)… 26 → 29 → 32 → 24点(平均27.8)
G4 … Brunson 36点(FG 12-25)
Wembanyama 24点(FG 9-25)13リバウンド
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■ ファイナルで3勝1敗リードした側の優勝率
約97.4%(過去38例中37例が優勝)
逆転された例 … 2016年ウォリアーズの1回のみ
スパーズが逆転すれば、2016年キャバリアーズ以来
=ファイナル史上2例目
エース対決は、ここまでほぼ互角に推移してきた。ただG4だけ切り取ると、Brunsonは36点と尻上がり、WembanyamaはFG9-25と効率を落としている。G5は揺り戻しがあるかどうかも見どころだ。
そして確率の壁。3勝1敗からの逆転優勝は過去38例中1例だけで、リード側の優勝率は約97.4%です[3]。スパーズが挑むのは、2016年キャバリアーズ以来となるファイナル史上2例目の大仕事になる。
復活した援護+エースを、スパーズは止められるか
視点を変えると、ニックスはG5に勝てばその瞬間に優勝が決まります。ファイナル史上最大の逆転勝ちの直後だけに、チームの勢いは最高潮だろう。
そしてスパーズにとって、嫌なニュースがもう1つ。G4プレビューで私は「鍵は援護シューター陣の3Pが戻るか」と書いた。答えはAnunobyの33点(3P 7-9)、そして残り1.2秒の決勝ティップイン。援護は、最悪のタイミングで戻ってきた。
スパーズは、守備でジレンマを抱える。Brunsonに守備を寄せれば、Anunobyたち外のシューターが空く。外に付けば、Brunsonの1対1が解き放たれる。直すのは攻撃だけではない。「復活した援護+エース」を同時に止める守備の答えも、G5までに用意しなければならない。
今後の展望:日曜朝9時30分、見るべきは2点
Game 5は現地6月13日(土)20時30分、日本時間6月14日(日)朝9時30分ティップオフ。舞台はサンアントニオのフロスト・バンク・センターで、中継はABC。2-2-1-1-1方式なので、崖っぷちのスパーズに残された切り札が、ホームコートだ。
観戦ポイントは2つに絞ります。1つ、点差が動いた時間帯にスパーズのボールが動き続けているか──TOと苦しい1対1の数を目で追う。2つ、WembanyamaのシュートがG4のFG9-25から戻るか。
前半76点のチームも、後半30点のチームも、どちらも本物のスパーズでした。日曜の朝、先にコートに現れるのはどちらか──コーヒー片手に確かめてください。
Game 5終了後には、結果を受けたリキャップをお届けする予定です。
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出典
[2] 前半3P 14本=NBAファイナル史上・1ハーフ最多の3P成功数(従来記録13本=2017年キャバリアーズ):HEAVY/Yahoo Sports
[3] ファイナルで3勝1敗リードした側の優勝率=約97.4%(過去38例中37例・逆転は2016年ウォリアーズの1例のみ):Land of Basketball/ESPN
[4] Wembanyama試合後コメント(execution / greediness/崩壊は第4Qの前から/前向きな決意):Yahoo Sports/ESPNリキャップ
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