← 一覧に戻る
戦術分析

Brunson、Harden相手に7/11──Knicksが設計した「スイッチ狩り」の正体

公開日2026.05.22編集部 · 5 min
戦術分析NO. 22
7/11
BRUNSON vs HARDEN

日本時間5月22日朝、ECF Game 2。MSG での第2戦を前に、いま一番語られているのが James Harden の守備です。シリーズは ニックスが 1-0。第1戦の22点差からの大逆転は、ただの「ニックスが強かった」では説明がつきません。

あの逆転には設計図があった。Jalen Brunson が 守る相手を入れ替える「スイッチ」(=ピック&ロールで守備者を交換する動き)を意図的に誘い、Harden を狙い撃ちにしたんです。

Game 2 の最大の見どころは1つ。Cavs がこのミスマッチを消すのか、それともニックスが同じ設計を繰り返すのか。今日はそこを掘ります。

この記事のポイント
  • 設計された崩し──Brunson は Harden を守らせる相手を意図的に作り、攻め続けた。Mike Brown HC も「Harden を攻めていたのは秘密でも何でもない」と明言しています。
  • 守備者で変わった確率──Brunson は Harden に守られた場面で 7/11、それ以外の守備者相手は 8/18。狙った相手では明らかに沈めていました。
  • Game 2 の分岐点──Cavs は Harden を隠す配置に変えるのか、それとも擁護を貫くのか。Atkinson HC のコメントを見るかぎり、簡単には動かなさそうなんです。

背景──22点差は「設計図」で溶けた

まず第1戦の流れ。Cavs は3Q終了時に 83-69、4Q 中盤の残り 7:52 頃には 93-71 と最大22点差を築いていました。ESPN Analytics の勝率は一時 99.9%。誰が見ても「今日は盗める」試合だったんです。

そこからニックスが 44-11 のランで一気にひっくり返し、115-104(OT)でシリーズを 1-0 に。

ただ、ここで効いていたのが Brunson の「スイッチ狩り」でした。Harden が守っている相手にスクリーン(=味方が壁になって守備者を引き離す動き)をかけさせ、Brunson の前に Harden を引きずり出す。そのうえで1対1で攻める。これを終盤、執拗に繰り返したんです。

データブロック①──Game 1 のキー数値

■ 最終スコア:CLE 104 - 115 NYK(OT)/シリーズ NYK 1-0
■ 3Q終了時:CLE 83 - 69 NYK・最大リード22点(93-71)
■ 終盤のラン:NYK 44-11(4Q終盤+OT)
■ Brunson 被Harden時 FG:7/11/それ以外の守備者相手:8/18
■ Harden(CLE):15点・5-16 FG・3P 1-8・TO6・3AST
■ Harden 4Q:FG 1-6・3P 0-3
■ トラッキング:Harden は4Q+OTだけで Brunson 側のオンボールスクリーン 21回 に引き込まれた(→9回の1対1・1プレー1.9点/All NBA podcast 経由 ESPN)
■ Brunson(NYK):38点・15-29 FG・FT 7-10・6AST
■ Mitchell(CLE):29点・12-23 FG・3P 4-11・STL6
■ Mobley(CLE):14点・14REB・3BLK/Allen(CLE):10点・7REB
■ Bridges(NYK):18点/Anunoby(NYK):13点/Towns(NYK):13点・13REB

詳細分析──「スイッチ狩り」の仕組み

仕組み自体はシンプルです。Brunson はまず、Harden がマークしている味方(Towns や Hart など)にスクリーンをかけさせる。すると Cavs の守備が交換され、Harden が Brunson の正面に立つ。あとは Brunson が1対1で料理する、という流れ。

怖いのは 選んでいるという点なんです。Brunson は Harden に守られた場面で 7/11と高確率。一方で、それ以外の守備者を相手にした場面は 8/18。同じ Brunson でも、誰に守られているかで沈め方がまるで違いました。

Mike Brown HC の言葉が象徴的です。「Harden を攻めていたのは秘密でも何でもない」。さらに「Harden のドリブルの回数を数えていた。1試合で1,000回もついている。だから全力でずっとプレッシャーをかけ続けた」とまで語っています。守備で消耗させ、攻撃で狙う。両面からの設計だったわけです。

そして数字がそれを裏づけます。トラッキングでは、勝負がついた4Q+OTだけで、Harden は Brunson 側のオンボールスクリーンに 21回 引き込まれていました。そこから生まれた1対1は9回、1プレーあたり 1.9点。終盤になればなるほど、ニックスは Harden を狙う頻度を上げていったんです。

データブロック②──Harden 個人の終盤内訳

■ 試合通算:15点・FG 5-16・3P 1-8・TO6・3AST
■ 4Q:FG 1-6・3P 0-3(勝負所で沈黙)
■ Brunson の被守備者別 FG:vs Harden 7/11(約64%)/vs その他 8/18(約44%)
■ Harden 被ターゲット:4Q+OTだけでオンボールスクリーン 21回(→9回の1対1・1プレー1.9点)
■ チーム終盤:Cavs 4Q FG 29.4%/OT は 7本中6本ミス
■ 攻守の連動:守備で標的→攻撃でも TO6・終盤シュート失敗が重なり、悪循環に

こうして並べると、Harden の不振は「シュートが入らなかった日」では片づきません。守備で削られ、攻撃でも止まり、その負の連鎖がチーム全体(Cavs 4Q FG 29.4%・OT 7本中6ミス)に伝播していった、という構図が見えてきます。

サブトピック──Cavs のもう1つの宿題は「ベンチの使い方」

Harden 問題と並んで Game 2 で注目なのが、Atkinson HC のローテーションです。第1戦では Jaylon Tyson が出番なし(DNP)、Keon Ellis も5分のみ。Brunson を止められる脚のある守備者が、終盤ほとんどコートにいなかったんです。

Brunson を1人で抑えるのは現実的じゃない。でも、Harden を隠せる相手をベンチから探すことはできる。Tyson のような守備型を Brunson にぶつける、あるいはダブルチームからの戻りを速くする──選択肢はゼロではありません。Game 2 でこのカードを切るかどうかが、もう1つの見どころです。

今後の展望──Cavs は動くのか、Knicks は続けるのか

Cavs が取り得る対応は、ざっくり3つ。①Harden の対面を Brunson 以外に固定して「隠す」、②スイッチを避けてドロップ(下がって守る)に切り替える、③Tyson らをぶつけてマッチアップで殴り返す。どれも一長一短で、Harden の攻撃力を活かしながら守備のミスマッチを消す綱渡りになります。

ただ、Atkinson HC は第1戦後も Harden を擁護していました。「彼はこのプレーオフでうちの最高の守備者の一人だ。信頼している」と。配置を大きくいじるより、チーム守備全体で支える方向に寄せてくる可能性が高そうなんです。

一方のニックス。設計が機能した以上、同じ狙いどころを突き続けない理由がありません。Cavs が塞ぎにきたら、その逆を取る。Brunson のゲームIQなら十分あり得ます。

1つの持ち帰り──「スイッチ狩り」は確率を上げる設計だ、ということ。Brunson の 7/11 と 8/18 の差は、たまたまじゃなく「誰に守らせるか選んだ」結果でした。Game 2 は、この一点を Cavs が消せるかどうかに尽きます。

どっちが先に動くか。ティップオフが楽しみになる第2戦です。

𝕏この記事をシェア

NBA 視聴

NBA on PrimeをAmazonで観る

プレーオフ含む主要試合を日本語実況で配信中

Amazon Prime Videoを見る →

※ 本リンクはアフィリエイト広告を含みます

この記事、どうでしたか?

← 一覧に戻る