日本時間5月18日朝、デトロイト・Little Caesars Arena。シリーズ3勝3敗で迎えたGame 7、キャバリアーズが 125-94 でピストンズを下しました。点差は 31。第3クォーター終了時点ですでに99-73、勝負は3Q途中で決していた格好です。
60勝22敗・東1位のピストンズを敵地で31点差で蹴散らした夜の主役は、Mitchell(26点・7A・5R)と Allen(23点・7R)の2人。前回プレビュー記事で予想した3戦線──ペイント・3P・クラッチ──が、どう決着したかを振り返ります。
結論を先に言ってしまうと、クラッチは発生せず、ペイントは Allen が完全に押し切り、3Pは Merrill のベンチ爆発で勝負あり。順番にどうぞ。
レギュラーシーズンの数字だけ見れば、ピストンズが格上でした。60勝22敗はフランチャイズ歴代3位タイの勝率、NBA全体でもサンダー(64-18)に次ぐ2位。一方のキャブスは52勝30敗で東4位です。
でも、シリーズはここまで「アウェイが強い」奇妙な展開でした。6試合中ホームチームが勝ったのはたった2試合。第1〜2戦はピストンズがホーム連勝、第3〜5戦はキャブスが3連勝、第6戦はピストンズが敵地で115-94の21点差圧勝。Game 6 でピストンズがつけた21点差を、キャブスが Game 7 で31点差に書き換えた格好です。
キャブスにとっては、2026年2月に Darius Garland をトレードして James Harden を獲得した編成判断が、最も意味のある形で報われた夜でもあります。当時は「ウィンドウの読み違い」と批判されたトレードでしたが、結果として東決勝への切符を手にしました。
Mitchellは、Game 4で「後半39点・1987年Sleepy Floyd以来39年ぶりのPO史タイ」という記録を出した男です。Game 7ではそこまでの爆発はなかったものの、26点・7アシスト・5リバウンド、FG 10/19(53%)でオールラウンドにチームを引っ張りました。
とくに大きかったのは、第3クォーター。Mitchell ひとりで15点を叩き込み、クォーター開始時の点差を一気に広げました。CLE 35-26 のクォーター成績が、その15点の威力を物語っています。
もうひとつ注目したいのが、アシスト7本。前回記事で「Mitchellは自分でショットを創れる二枚看板」と書きましたが、Game 7では 自分で打つだけじゃなく、配球役も務めたのがポイント。Merrill の3P爆発(5/7)にも、Mitchell のキックアウトが何本も絡んでいます。
「決めるだけ」のスコアラーから、「決める×創る」の両刀使いに進化したMitchell。次の東決勝でも、この使い分けがニックス相手にどう機能するかが見どころです。
前回プレビューで「シリーズの勝敗ともっとも強く連動してきた変数はDurenの状態」と書きました。Game 7、その答えがはっきり出ました。
Allen が23点を爆発させ、Durenは6点しか取れなかった。リバウンドこそ Duren が9本で踏みとどまったものの、得点面では完全な勝負あり。ペイント得点も CLE 26 vs DET 18 でキャブスが押し切っています。
Allen のFT 7/13 という数字もポイント。インサイドで身体を当て続けてファウルを引き出すスタイルが、Durenのファウル管理を狂わせました。Mobley も21点・12リバウンド・6アシスト・2ブロックでサポート。2ビッグでのペイント支配という前回予想が、ここでも完璧に当たった形です。
前回記事「ペイント・3P・クラッチ」の3戦線予想に対して、Game 7はどう決着したか。一覧で並べます。
ペイント戦線:予想「Durenが動けるかが鍵、止められればキャブス有利」→ 結果「Duren 6点・Allen 23点で完全勝負あり」。これは予想通り。
3P戦線:予想「Mitchell&Hardenの『自前で創る』二枚看板」→ 結果は半分当たり半分外れです。Mitchell は2/5(合格)でしたが、Harden は 0/5、9点・FG 2/9 で不発。代わりに想定外のヒーロー Sam Merrill がベンチから 3P 5/7 を叩き込みました。「二枚看板」というより「Mitchell+Merrill」という別の形で3Pを取った夜です。
クラッチ戦線:予想「経験値の二枚看板 vs ホームコート」→ 結果「クラッチタイムそのものが発生せず」。第3Q終了時点で26点差、ホームコート優位はLittle Caesars Arenaの観客のため息に飲み込まれました。
もう一つ、この勝利には地味だけど大きな意味があります。キャブスがLeBron James後の時代で初めて、東カンファレンス・ファイナルに進出した──そういう夜なんです。
LeBronのCLE2期目は2014-15〜2017-18の4シーズン。4年連続でファイナルに進み、2016年にフランチャイズ初の優勝を達成した黄金期です。その最後の東決勝が2017-18(vs セルティックス 4-3)。そこから7シーズン、キャブスは一度も東決勝に届きませんでした。
2018-19以降の歩みを並べると、再建の長さがよく分かります。LeBron離脱直後はロッタリー常連、2022-23でようやくプレーオフ復帰したものの1回戦でニックスに1-4、2023-24は2回戦でセルティックスに1-4、2024-25は64勝で東1位に立ったのにペイサーズに1-4で散った。「強いのに勝てない」が続いた7年間だったんです。
その間に積み上げた再建の主要マイルストーンが、今夜のスタメンに全員並んでいました。Garland 2019ドラフト5位(Vanderbilt)、Mobley 2021ドラフト3位(USC)、Mitchell 2022年9月にJazzから獲得(Sexton・Markkanen・Agbaji+1巡3本+スワップ2回との交換)、そしてHarden 2026年2月にClippersから獲得(Garland+2巡指名権との交換)。Garlandは出ていったけれど、彼が指名されてから7年かけて積み上げたピースが、Mitchellを軸に組み替わって、ついに東決勝までたどり着いた格好です。
2017-18以来、8シーズンぶりの東決勝。LeBronのいないキャブスとしては、これが「初めて」。31点差の派手さに隠れがちですが、フランチャイズの歴史的にはここがいちばん重い1勝かもしれません。
キャブスは東決勝でニックスと対戦します。すでに2回戦を突破済みのニックスは、ディフェンス力とJalen Brunson・KAT・Bridgesの3軸が強力なチーム。Game 7のキャブスがそのまま通用するかは別の話です。
注目したいのは、Mitchellの「配球モード」がニックス相手にも機能するか。ニックスのディフェンスは個人を抑えるよりチームで囲み込むスタイルなので、Mitchellが自分でショットを創るだけでは抜けない場面が増えるはず。Game 7で見せた7アシストの判断力が、シリーズを通して継続できるかが鍵になります。
もうひとつ、Allen+Mobleyの2ビッグがニックスのKATとどう噛み合うか。KAT は外でも内でも得点できるストレッチビッグなので、Mobley のスイッチ守備の真価が問われます。
東決勝、ニックス戦が今から楽しみすぎる。Game 7の31点差は、もう過去の話です。
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