2026年5月2日、NBA史にまた1ページが刻まれた。フィラデルフィア・76ersがボストン・セルティクスをGame 7で109-100と退け、1勝3敗からの4連勝という歴史的逆転でEastern Conference準決勝へ駒を進めた。NBA史上3-1からの逆転は14チーム目。「不可能を可能にした」という言葉が最も似合う夜だった。
76ersは今季レギュラーシーズンを45勝37敗・東地区7位で終えた。プレーオフ前からEmbiidの膝の状態が懸念され、シリーズ序盤はその不安が的中する形でセルティックスに3連敗を喫した。Game 4終了時点でシリーズ敗退は時間の問題とメディアには書かれ、Embiid自身も「自分のせい」とコメントしていた。転機はGame 5。Maxeyが爆発的なパフォーマンスを見せ、チームに「まだ戦える」という確信をもたらした。さらに追い風となったのがTatumの負傷だ。Tatumはふくらはぎの張りでGame 6の4Qを欠き、さらに左膝のこわばりでGame 7を欠場。セルティックス最大の得点源を欠いた状況でシリーズは一気にイーブンへと戻された。
Game 5以降の76ersの変化は戦術面で明確だった。コーチのNick Nurseは「プレーオフの守備はアイデンティティ」と語り続けてきたが、Game 5からダブルチームのタイミングを遅らせる「ショウ&リカバー」を採用し、Jaylen Brownへのパスコースを消すことに成功した。また、Maxeyのピックアンドロールでのドライブ頻度を通常の1.3倍に引き上げ、セルティックス守備のローテーションを崩す作戦を徹底した。Game 7の前半で18点リードを奪えたのはこの戦術変更の成果だ。4Qに1点差まで詰め寄られた場面では、Embiidが連続してポストアップからスコアし、Maxeyがクラッチタイムに3連続バスケットを沈めて流れを断ち切った。「崩れそうで崩れなかった」——この精神的強靭さがシリーズ最大の収穫だ。
R2の相手となるニックスはホークスを140-89(51点差)で粉砕し、余力を残してR2に入る。一方76ersはGame 7を戦い、肉体的な疲労は明らかだ。特にEmbiidは7試合でフル稼働しており、膝の状態が懸念される。ただし「追い詰められてから強くなる」76ersの性質を考えると、アンダードッグの立場は必ずしも不利ではない。ニックスはDRtgリーグ6位(109.4)の堅い守備を持ち、Embiidへのダブルチームを積極的に仕掛けてくると予想される。Brunsonが平均28点を超えるオフェンス力でどう対抗するかがシリーズの鍵だ。
Game 1は本日(5月4日)ET 20:00にニックスのホーム・マジソン・スクエア・ガーデンで開催される。主導権を握るのはホームのニックスだが、76ersには「逆境で燃える」という証明済みのDNAがある。Embiidの健康状態と、Edgecombeが再び爆発できるかが短期的な注目ポイントだ。シリーズが長引くほど76ersに有利——セルティックスへのGame 7勝利で手にした自信は本物であり、ニックスも油断は許されない。
八村塁はWestern Conferenceのレイカーズに所属しているため今シリーズには直接関係しないが、Eastern Conferenceの動向はレイカーズの将来的なFinals対戦相手を決める重要な文脈だ。76ers-ニックスシリーズの勝者がWestern Conferenceの覇者と激突するFinals——その舞台に八村が立つ可能性を考えると、Eastern Conferenceの展開も日本のバスケファンには他人事ではない。Embiidの逆転劇は、今後のFinals構図を大きく左右する一戦として記憶されるだろう。
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